北海道内で運営する家畜市場から全国に生きた牛を配送しているホクレンは、遠隔地の中国・四国・九州に牛を運ぶ際に、中継輸送と呼ばれる仕組みを導入している。中間に位置する関西に中継拠点を設け、元々運転手1人で運んでいた輸送工程を2人で分担する体制に切り替え、トラック運転手の負担軽減につなげている。
ホクレンが運営する道内計七つの家畜市場では年間約27万頭の牛が取引され、うち3割超(約9万~10万頭)が道外に出荷されている。ホクレンは購入者が希望する場合、牛の輸送を実施。年間約1万頭に上り、実際にはホクレンが委託する輸送業者が運んでいる。
中継輸送を始めたのは2022年6月。対象は中国・四国・九州への輸送だ。ホクレン物流二課の小林哲郎課長は「中四国以西への輸送は往復で最大6日間以上かかることもあり、運転手の拘束時間の長さが課題となっていた」と振り返る。
中継拠点は滋賀県に設けた。元々運転手1人で運んでいた輸送工程を「北海道-滋賀」(往復5日間)と「滋賀-中国・四国・九州」(往復2、3日間)に分け、運転手2人で分担する体制に切り替え、運転手の拘束時間を従来(往復最大6日間以上)より縮めた。
中継輸送で運んだ牛は9月末時点で680頭に上る。到着が従来より遅れる目的地が出たり、輸送費の負担が増えたりするデメリットもあるが、小林課長は「農畜産物を運べなくなったら元も子もない。運転手の負担を軽減し、持続可能な輸送体制を構築したい」と強調する。
複数のトラックでリレー方式で目的地まで荷物を運ぶ輸送形態。1台のトラックで運ぶよりも、運転手1人当たりの拘束時間を短縮できるのが特徴だ。次のトラックに荷物を移し替える「中継拠点」を道中に設ける必要がある。