総務省の23年の家計調査(2人以上世帯=2・9人)によると、食品支出額は103万8653円で、2000年以降初めて100万円台を超えて過去最高となった。23年は新型コロナウイルス禍からの回復が進んだ外食や、値上げが目立った調理食品が前年に引き続き増加。生鮮食品も含めて、支出を抑えようと購入量を減らす消費者の動きが目立った。
増加した品目
最も支出額が増えたのが卵だ。22年から過去最大規模で高病原性鳥インフルエンザが全国的に発生して鶏卵が品薄高になり、23年6月にかけて過去最高値が継続。購入量は減ったが、支出額は前年より27%増えた。鶏肉も同様に、購入量は減ったが品薄による価格上昇で支出額が増えた。
異例の猛暑で価格が上昇し、支出額が増えた野菜・果実も目立った。支出額の増加率が高かったニンジンは同年9月、品薄により平年比4、5割高となった。ブロッコリーも同月、取引量が平年の半分に落ち込み価格は2倍になった。
リンゴは猛暑による着色不良などで正品率が低下。品薄高で10、11月は同4割高となった。ミカンは高温・少雨で小玉傾向となり、取引量が減少。一方、糖度が高く単価の上昇要因となった。
サツマイモは支出額・購入量とも増加。焼き芋ブームの定着を背景に、家庭でも消費されているとみられる。
減少した品目
支出額の減少幅が最も大きかったのがタマネギ。22年は国産・輸入とも出回り量が少なく、品薄高で支出額が過去最高となった反動。23年は価格が安定し支出額が減ったが、購入量は回復した。
梨は高温により取引量が減少し、支出額も減った。イチゴも花芽分化や定植遅れでシーズン序盤の出回り量が減少。11月は同4割高となった。牛肉は物価高の中で、前年に引き続き消費が減退。コロナ禍が明けて、インバウンド需要に期待がかかる。
外食はコロナ禍の落ち込みが回復。23年は同18%増の17万3639円となり、19年の水準となった。特に飲酒代が同78%増の1万6200円となり、飲酒を伴う会食が増えたことがうかがえた。