和紅茶(国産の紅茶)の生産が広がりを見せている。各地域の茶葉でつくる産地(製茶場)は2023年に全47都道府県に広がり、産地数は10年で倍増。地域独自の特色を織り交ぜた商品が生まれ、専門店も登場して人気が高まっている。
和紅茶や地紅茶の名称を提言した紅茶の会の藤原一輝代表によると、和紅茶は苦味や渋味が少なく飲みやすいという。産地は、製法やブレンド、風味を加える地元特産物との組み合わせなどで個性を出す。「緑茶の生産者の中から特に若い層が紅茶作りに参入しており、これからマーケットは広がるだろう」と話す。
大手レシピサイト運営・クックパッドの食のトレンド予測2024年のヒット商品候補には作り手や地域の個性が際立つ紅茶として「クラフト紅茶」が選出され、新たな注目ワードとなっている。
同県出雲市の西製茶所とコラボレーションし、まんじゅうの白あんに合うように開発。21年9月から販売する。パッケージにまんじゅうのイラストを入れて相性の良さを強調。西製茶所の西龍介さんは「地元企業同士のコラボで、和紅茶の消費拡大を盛り上げたい」と話す。
無農薬栽培こだわる
東京都練馬区の和紅茶専門店SANKODOは、23年2月にオープン。カフェ形態で、静岡県や九州の茶園から集めた無農薬で栽培するなどこだわりの和紅茶を、季節限定も含め常時7~11種類提供する。
一番人気は高田農園(静岡)の「べにふうき」。砂糖なしでも甘味を感じられるのが特徴だ。
店内では茶葉も販売する。味の特徴や産地、飲み方でも選べるようにガイドを作成。茶園の特徴や生産者も紹介する。リーフ茶の他に手軽なティーバッグもあり、徐々に購入する人が増えているという。
同店を運営する三幸産業の河西昌弘カフェ事業部長は「和紅茶の生産者は家族経営が多く、味に個性があるのが魅力」と話す。今後は取り扱う産地数を増やして客の選択肢を広げ、茶園の応援にもつなげる考えだ。