売り場様変わり
店頭には、高糖度、カラフル、房付きなどミニトマトの豊富な品が並び、200グラムレギュラー品に100グラムの少量品までそろう。
山岡邦彦青果バイヤーは「健康志向、使い勝手の良さといったニーズに合致した。高糖度アイテムが多く色別の味の違いも楽しめ、果実感覚で味わう消費者も多い」と人気の理由を話す。
量から質に転換
堅調な消費を背景に、ミニトマトは増産が進む。農水省によると、2022年のトマト全体の作付面積は1万1200ヘクタールと、20年で15%減った。一方でミニは22年に2690ヘクタールと、同63%増加。トマト全体に占める割合は24%と11ポイント上昇した。
トレンドの変化について、東京の青果卸は「10年余り前に健康効果が注目され、トマト全体の需要が一気に伸びた」と振り返る。ブームを背景に増産意欲も高まったが、「大玉は勢いに陰りが出て、相場が苦戦する局面も増えた」(同)。
ミニトマトへのシフトが進むが、「将来、大玉同様に頭打ちとなる」との見方もある。単純に量を増やすのではなく「質」での勝負になっている。
「独自色」で勝負
独自色を出すため重視するのが食味だ。JA営農販売課の伊藤修平係長は、「彩りや扱いやすさなどの売りも大事だが、良食味であることが大前提。食味がついてこないと市場評価を下げてしまう」と強調。指標の一つである糖度を安定できるよう、栽培は全量、土耕と比べて自然環境に左右されにくい養液栽培にする。10~7月の出荷期間中、糖度は安定して8を上回り、2~4月は10前後を確保する。
JAミニトマト部会副部会長の伊藤浩治さん(53)も「栽培方法を統一し、高位平準化した商品を安定供給できるかが鍵だ」と同調する。
多様なニーズに応えるアイテムをそろえ、おいしさを保証することでミニトマトの堅調な需要を支える。