雨雲が空を覆う中、スイカ畑でくわを振り、排水の溝を掘る。同市雄物川町の佐藤貴洋さん(75)の畑は、雄物川の水位が上昇した影響で排水が滞り、畝まで水に漬かった。
出荷前の検査「試し割り」では、基準を超える糖度12・5を計測。翌日に収穫を待つばかりだった。だが、風邪で寝込んでいる間に大雨が襲った。
今季は生育が順調で、「あきた夏丸」は高単価のLサイズに成長。4トンの出荷を目指していたが、「どれぐらい取れるか分からない」と顔をしかめた。
佐藤さんの上西野地区は年々収量が伸び、「JAでも技術力が一番の地区」と自負。「(商品となる)玉だけは守る」。病み上がりだが、防除を急ぐ。
雄物川沿いの約10アールでゴボウやネギなどを栽培する池部一男さん(71)は畑が冠水。「順調だったのに全滅だ」と首を振った。
市農業振興課によると、雄物川沿いの水田や大豆などの転作田を中心に冠水。川の水位上昇に伴って水があふれる水路も多数出た。被害面積は調査中だが、小松淳課長は「雨が続くと、防除のネックになる」と懸念する。
山形県酒田市で酪農を営む鳥海高原デーリィファームは、飼養する乳牛600頭は無事だったが、牧場までの道路が土砂崩れでふさがれ、集乳車が通れない状況だ。日量8トンの出荷が26日からできなくなり、27日以降もめどが立たないという。
餌や資材など物資を届ける運搬車も牧場に入ることができず、同ファームは「一日でも早く道路を開通してほしい」と訴える。
秋田県にかほ市の土田牧場も牧場周辺の道路が落石などで通行止めとなり、集乳車の到着が普段より2時間程度遅れている。
記録的大雨に見舞われた秋田県は26日時点で、水稲・大豆の冠水、水路への土砂流入、農道の損壊など被害が相次ぐ。
山形県でも水稲・大豆、ニラ、ネギ、梨などで冠水被害が確認された。ハウスやカントリーエレベーターなど施設の被害も出ている。両県は被害の確認を急いでおり、全容解明にはまだ時間がかかる見通しだ。