インバウンド(訪日外国人)の土産品として、ふりかけなどご飯のお供がひそかなブームとなっている。日本食を楽しみにする外国人客が増えており、日本人の日常的な食事を帰国後も味わいたいニーズがある。銘柄米を合わせて購入する例もあり、海外での日本産米ファンを増やすきっかけになりそうだ。
専用コーナーも
全国各地の土産用加工品を取り扱う日本百貨店しょくひんかん(東京都千代田区)では「めしともコーナー」を設置し、ご飯のお供を100種類以上そろえる。人気商品は国産鮭フレークと辛子めんたいこを合わせた「しゃけ辛めんたい」(80グラム、565円)や、八丁みそを使ったカレーと脂の乗った肉厚なイワシが特徴の「スパイスカレー缶 IWASHI」(190グラム、572円)。都道府県ごとの商品スペースでもご飯のお供を並べる。佐賀県産のり「佐賀一番摘み 焼」(2切6枚、562円)は訪日客に人気が高く売り上げを伸ばす。
同コーナーではキューブ状の銘柄米七種(各300グラム入り、500~650円)を販売している。水上理佳店長は「ご飯のお供と合わせて銘柄米を一緒に購入する訪日客も多い」と語る。
ふりかけの人気も高い。三島食品(広島市)は、外国人需要を意識した商品を展開する。インバウンドに人気の商品はふりかけ「海苔香味(のりこうみ)」(55グラム、400円)。焼きのりと青のり、ごまを使ったシンプルな味付けが人気となり、量販店での売り上げも好調という。
同社は1960年から主力商品である「ゆかり」などふりかけを米国や台湾へ輸出している。白米にかけるだけではなく、サラダや肉などに「和」のスパイスとしての使い方を訴求し販路を広げた。
イスラム教の戒律で許されるハラル対応のふりかけを販売するのは、大橋水産(北海道)だ。2021年2月に「ハラル認証」を取得し、ふりかけや塩昆布などハラル対応の商品を開発する。「食べる出汁(だし)ふりかけ」(70グラム、648円)は昆布とかつおぶしを調合した人気の商品。NEXCO東日本のPA内の売店や、道内飲食店でお茶漬けとして提供する。
「調味料」に期待 インバウンドの消費行動に詳しいジャパンショッピングツーリズム協会の神林淳訪日市場チーフアナリストは「和食を楽しみ、お土産として日本の調味料を選ぶ動きがある」という。ふりかけやだしなど、日本を感じられる調味料の需要は引き続き期待できる。
(廣田泉)