2024年産の米の食味ランキング=メモ=で特Aの連続獲得記録を伸ばした産地品種は――。本紙の調べによると、最長記録は北海道「ななつぼし」、山形「つや姫」、佐賀「さがびより」の15年連続だった。産地は水管理の徹底といった高温対策の強化で猛暑でも連続記録を伸ばし、流通業者や実需からの厚い信頼につなげている。

24年産の食味ランキングでは、出品された143産地品種銘柄のうち特A獲得は39。猛暑などの影響で前年から4減った。
温暖化で栽培環境が厳しくなる中、北海道「ななつぼし」、山形「つや姫」、佐賀「さがびより」は15年連続で特Aを獲得。24年産まで続く獲得数を多い順に見ると、北海道「ゆめぴりか」が14年、岡山「きぬむすめ」が9年、高知・県北「にこまる」が8年、岩手・県中「銀河のしずく」や新潟・魚沼「コシヒカリ」、静岡・西部「にこまる」が7年連続。5年以上連続で獲得する12産地品種のうち高温耐性品種が8と多い。

一方、1989(平成元)年産以降のデータを振り返ると、新潟・魚沼「コシヒカリ」が2016年産までの28年連続で特Aを獲得した最長記録を持つ。10年以上連続で獲得した記録があるのは、山形・内陸「はえぬき」や岩手・県南や宮城・県北の「ひとめぼれ」、福島・会津「コシヒカリ」など、北日本の主要品種が多かった。

近年、高温耐性品種への期待が高まる一方、耐性品種でも特Aを逃す銘柄は少なくない。24年産で特Aを獲得した産地品種について、穀検は、「高温登熟を避ける適期作付けや早期の刈り取りなど、高温対策を徹底していた」と分析する。
佐賀「さがびより」では県や産地、生産者が一体となって品質向上に取り組む。県内各地区の現場では、ベテラン農家の「さがびより米(マイ)スター」が高温対策などを呼びかける。09年産から「さがびより」を手がけるマイスターの田中秀範さん(75)は、「年々気温が上がり、水が蒸発しやすくなっている。まめな水管理を心がけた」とし、残暑が厳しかった24年産でも特Aを勝ち取った。
特Aの産地品種に対する期待や信頼は大きい。東京都・墨田区の米穀店「亀太商店」の市野澤利明代表は、「特Aの米なら買ってみたいという客がいる。飲食店など実需からの信頼も厚い」と話す。
山形「つや姫」は、25年産からの5年間で1万トンの増産を計画する。山形県は、「つや姫は良食味、高品質が絶対条件。これからも特Aを取り続けていきたい」(農産物販路開拓・輸出推進課)と力を込める。
(鈴木雄太)
<メモ>米の食味ランキング
良食味米の作付け推進と米消費拡大につなげる狙いで、日本穀物検定協会(穀検)が1971年産から始めた。複数産地の「コシヒカリ」のブレンド米を基準に外観や香り、粘りといった6項目を評価し、米の味を「特A」「A」「A´」「B」「B´」の5段階で格付けする。