小売り、外食先細り 「廃業検討」1、2割 農水省が食品業界経営課題を調査
調査は2021年9、10月に、食品の製造業、卸売業、小売業、外食産業の計3470事業所が回答した。食品産業の経営者の高齢化や新型コロナの影響による経営資源の散逸の恐れなどを探るのが目的。
3~5年先の事業方針は、各業種とも「現状維持」と回答した割合が最も高く、ほぼ半数を占めた。次いで高かったのは、小売業と外食産業では「廃業を検討」で、それぞれ23%、14%を占めた。
一方、食品製造業と卸売業で次に高かったのは「事業規模を拡大」で、ともに17%だった。事業承継に意欲的な姿勢がみられる。
経営上の戦略として重点的に取り組むものは、製造業では「生産性向上」が34%と最も高かった。他の業種は「事業継続」の割合が最も高く、卸売業で31%、小売業で32%、外食産業は45%を占めた。食品業界で消費者に近い川下の業種ほど、業務効率化や付加価値の向上などに取り組む余裕がないもようだ。重点項目に輸出を挙げた割合は食品製造業、卸売業ともに3%、小売業は0・4%になった。
同省は「企業ブランドや店舗など経営資源の有効活用のために事業承継が必要」(大臣官房新事業・食品産業部)として、生産性向上や事業承継を支援する方向だ。農業競争力強化支援法が食品産業も対象とし、金融支援や税制特例があることを周知していく。
輸出への取り組みも調べた。輸出をしているのは食品製造業で14%、卸売業で10%。取り組み予定も含めると、両業種とも2割に達した。小売業と外食産業は、輸出取り組み中と予定を含めても1割に満たなかった。輸出への課題として最多だったのは、製造業で「取引先の確保」、卸売業で「現地ビジネスパートナーの確保」、小売業で「現地規制や商習慣に関する情報入手」、外食産業で「投資資金の確保」となった。