カモなどの鳴き声AIで検知 光当てレンコン食害防ぐ 茨城・JA水郷つくばが実証
追い払い機器「バーチャルネット」は、防鳥網に代わる対策として農研機構と筑波大学が共同で開発。同JAが協力して、2021年度から現地実証試験に取り組んでいる。
マガモやオオバンの夜間の鳴き声や環境音を人工知能(AI)に学習させ、自動判別する技術を活用する。収穫期の冬の夜間に泥中のレンコンを食べる加害種の鳴き声を検知すると、対象のハス田に光を一時照射。一定程度、追い払うことができるという。
機器の実用化を目指し研究の加速化と効率化を図るため、22年から国立環境研究所、23年からIT企業のアイフォーコムとも共同で進める。
本年度の実験では、さらに精度を高めるために、「バーチャルネット」と小型カメラを一体化させ、リアルタイムで効果を把握することを目指した。レンコンの収穫とカモの渡来期が重なる秋から冬にかけて、複数のハス田に機器を設置。稼働しながら、被害の防止効果を確認、検証する。
霞ケ浦周辺のハス田では、レンコンへの食害対策で防鳥網が設置されている。だが、21年度の県内の野生鳥獣による農業被害額のうち、レンコン被害額は約2億9000万円で、全体の72%を占める。一方、防鳥網で加害種以外の野鳥が死ぬなどの問題も発生し、代替の被害防止技術が求められている。
同JAれんこん課の山口崇一課長は「新しい技術で少しでも被害が減ってほしい」と期待を込める。