輸入品が9割を占める国内の雑穀市場で、JAは貴重な国産雑穀の供給基地。北海道を除いた国内の雑穀生産量のうち50~60%をJA産が占める。
管内全体の栽培面積は244ヘクタール(2023年産)。主力のハトムギや黒米をはじめ、約16品種を栽培する。05年に設立したJA雑穀生産部会には現在114人が所属し、栽培管理を徹底し、高品質な雑穀の生産に努める。
管内の花巻市では1990年代後半から、水田と平場の地形を生かすことができる転作品目として、雑穀の生産が広がった。現在は市内の複数の農業法人を中心に栽培する。
JA管内で収穫された雑穀は全て、JA子会社のJAグリーンサービス花巻プロ農夢花巻事業本部が買い取り、加工・販売する。同社による取引先への需要調査を基に次年度以降の方針をJAと共有し、作付けに反映している。
同社は雑穀のさまざまなオリジナル商品を手がける他、他社への原料供給も担う。2021年には世界で初めて、原料にヒエのぬかを使用したファーメンステーションの化粧品「ヒエヌカオイル」「ヒエヌカエキス」に原材料を提供した。また、ポッカサッポロフード&ビバレッジの「雑穀ミルク」や生協のオリジナルブランド品への原料提供など、他社と協力し、雑穀の新たな魅力発信にも貢献する。
こうしたブランド化を生産者は歓迎する。JA雑穀生産部会の安藤香部会長は「さまざまな取り組みに挑戦することは、生産者としても頑張ろうという気持ちになる」と話す。
同社製造課の高橋一矢課長は「消費者やユーザーのため、そして雑穀の食文化を継承していくためにも、生産者と同じ視点に立って栽培環境を整える努力を続けていきたい」と力を込める。