JA管内ではブドウは寒さによる枯死、生育不良が原因で栽培普及が進まず、リンゴや桃などを中心に指導をしてきた。しかし、近年の冬の気温上昇を受け、2021年度に「ぶどう栽培振興プロジェクト」を始動。指導体制を強化するため、他JAで長年栽培を指導してきた現営農経済部の森田信一郎審議役を招いた。
森田審議役は栽培技術の総合的な監修と技術員の育成、栽培指導を担う。栽培を希望する農家には、ブドウ棚施設の導入から栽培まで相談に乗っている。
JAは技術を伝える場として、佐久市と小諸市に計25アールのモデル園を設置。「クイーンルージュ」(品種名「長果G11」)と「ナガノパープル」「シャインマスカット」の「ぶどう三姉妹」を試験栽培し、重点品目として振興を進める。
23年度までに30戸が新規で栽培を開始。JAはモデル園の実証を基に栽培農家の出荷実績を重ね、26年度までに100戸に増やすことを目標にしている。
花きでも、JAとJAトルコギキョウ専門部が県農業農村支援センターやJA全農長野などと連携。栽培希望者へ苗の無償提供、指導講習会などを通じ、新規栽培者の確保を進める。
出荷まで圃場(ほじょう)巡回による指導を定期的に行い、きめ細かくサポート。栽培を始めた果樹農家は「苗や資材の提供だけでなく、付きっきりで指導してもらえる。始める時のハードルが低かった」と振り返る。
JAはトルコギキョウを「需要の伸びしろがある」とみて、振興に力を入れる。26年度までに新たな栽培農家を100戸増やす計画。専門部の小林守正部長は「JAのサポートのおかげで新規栽培者は着実に増えている。花き販売額20億円超だった一大産地の復活を目指す」と力を込める。