生産は22年10月に設立されたJA種なしピーマン出荷組合が担う。現在、平塚市、伊勢原市、大磯町の5戸の生産者が所属し、生育期間中は毎月数回、圃場(ほじょう)巡回を実施。適切な施肥や病害虫対策などの情報を共有し、種なしピーマンの安定供給と品質の向上に取り組んでいる。県外の産地にも視察に出向き、生産技術の向上を図っている。
22年からは、主枝を切り、側芽を伸ばして新しい主枝にすることで、再び実を収穫できるようにする切り戻し栽培を一部の生産者が導入した。これまでに3戸が取り入れている。植え替えの手間や苗代が抑えられることから、資材価格の高騰が続く中でも効率的な経営を実現している。
切り戻し栽培にも昨シーズンから挑戦し、通常の作型が終わった10月下旬~12月下旬の収穫ができるようになった。一般的な露地栽培のピーマンの生産が落ち着く時期でも出荷できるため、農家所得の増大が期待できる。
昨年の夏は、猛暑の影響もあり、生産していた株の半分ほどが焼けてしまうといった被害が出た。今シーズンは、切り戻し作業を始めるタイミングを早めることに加え、ハウス内の換気をさらに徹底することやマルチを早い段階で剥がし、地温が上がり過ぎないようにするなど、生産環境の整備に力を注いでいく考えだ。
行谷さんは「切り戻しのタイミングをずらせば、4~12月の間、途切れずに出荷できる。たくさんの人に種なしピーマンの魅力やおいしさを知ってもらうことで、JA管内を一大産地にしていきたい」と意気込みを語った。