珠洲市でイチゴ狩り園を経営する皆口英樹さん(43)は、6日以降の営業中止を決め、予約客に連絡した。「相次ぐ通行止めで迂回(うかい)路を説明するのも簡単ではない。余震も多く、来場客に危険があってもいけない」と苦しい胸の内を明かす。
イチゴ園では高設栽培するプランターの棚の支柱が折れた。倒壊しないよう、皆口さんは急きょ支柱が折れた周辺の棚にビニールひもをかけて補強した。完熟を迎えたイチゴは落果し、残ったものも揺れでぶつかり合って出荷が難しいという。
JAすずしの直売所、グリーンセンターすず(珠洲市)では商品が棚から落ち、破損する被害に見舞われた。5日は営業を取りやめ清掃作業に全力を挙げたが、夜に再び強い揺れが起きて清掃前の状態に戻ってしまった。6日は営業再開にこぎ着けたものの、来店客数は半分以下にとどまった。
JAすずしでは6日、被災した組合員から相談が相次ぎ、職員が対応に追われた。JA中央会、JA共済連石川とも相談し、8日から建物更生共済の現地調査に入ることを決めた。表野悦夫組合長は「組合員の自宅の確保や片付けが最優先。農業被害が分かってくるのはその後だろう」と話す。
珠洲市は6日、屋根などの浸水や風を防ぐため市内10公民館でブルーシートの配布を始めた。近くに住む介護士の寅口隆さん(48)は「取りあえず窓や扉に取り付け、晴れ間を見て屋根に覆いたい」と、大事そうに持ち帰った。