<ことば> SFTSウイルス
2009年以降、中国などで確認されている。日本にいるマダニ約45種のうち、全国に分布するフタトゲチマダニと東北以南に生息するタカサゴキララマダニの媒介が確認されているが、両種にはウイルスを持たない個体もいる。感染すると高熱が出て、免疫力が低下する。
感染研は13年以降、患者をSFTSと診断した医師から保健所への報告をもとに感染者を把握している。23年5月(14日時点)までの約10年間に30都府県で計847人確認され、3割が死亡した。
感染した9割が60代以上の高齢者で、農作業中が53%を占める。林業従事者も多い。マダニは野山や農地に潜んでいたり、イノシシやアライグマ、野鳥など野生動物に寄生したりしており、農村や山林の荒廃で接触機会が増え、感染リスクが高まっているという。23年の感染者は過去最多を更新した22年の116人を上回る勢いで増えている。
感染研の前田健・獣医科学部長は「野生動物が出没する田畑で作業する時は、熱中症に気を付けながら、肌の露出が少ない衣服を着るなど細心の注意が必要。それでも完全に防ぐことは難しく、刺されたと気付いたらすぐに受診してほしい」と呼びかける。
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