子ども食堂やフードバンクは、生活困窮者や買い物弱者が食品を確保するために頼る“とりで”として機能している。一方で、これらの運営は主にボランティアで成り立つ。必要な資金や設備の確保、人材育成などで多くの課題を抱える。
食料・農業・農村基本法の見直しでは、食料を安定的に供給するため、フードバンク支援や物流効率化など「食品アクセスの改善」を課題に挙げる。同省は、2024年度概算要求で、23年度当初予算比43億円増となる44億円の食品アクセス関連予算を盛り込み、対策を検討している。
このうち「食品アクセス支援団体活動支援事業」には10億円を要求した。子ども食堂を新たに立ち上げたり、フードバンクで食品の取扱量を増やしたりする際にかかる経費を支援する。
具体的には、生活困窮者や買い物難民が地域にどれだけいるか、居住状況の調査に必要な費用や、求人募集や職員研修にかかる費用、食料の集配トラックや倉庫、加工・調理用機械の導入や改修の費用を全額助成する。
地域の課題を洗い出すため、自治体や生産者、JA、物流会社、子ども食堂などが参加する協議会の立ち上げや調査を支援する事業も新たに設け、2億円を要求する。他に、物流の自動化や省力化に必要な設備の導入、食品流通の中継地となる共同物流拠点の整備なども支援する。