和牛消費拡大に助成 販路開拓、イベント、訪日客PR 農水省
2023年度補正予算案に、「和牛肉需要拡大緊急対策事業」として50億円を計上した。①新規需要開拓②イベントなどでの消費拡大③インバウンド消費の喚起──の3本柱で支援する。
①では、卸などの食肉事業者と小売りや外食などの実需者が連携した新規需要の開拓を後押し。EC(電子商取引)サイト開設といった新たな販売方法の導入などの計画を立ててもらい、実需者への販売量に応じて食肉事業者に助成する。枝肉一式の場合はA5等級で1頭当たり15万円、A4で9万円を交付。部分肉では高価格帯のヒレ、リブロース、サーロインを対象に、1キロ当たり1600円を交付する。
②ではイベントなどを通じ、栄養の豊富さといった和牛肉への消費者理解を促す取り組みなどに支援する。肉関連の催しへの出展や学校での出前授業などを想定。食肉事業者などを対象に試食提供などに必要な経費を2分の1以内で助成する。
③では輸出の拡大に向け、インバウンドをターゲットとした和牛肉を使った飲食物の提供や体験型イベントなどを支援する。和牛肉関連の全国団体が旅行業者などと連携して実施してもらう。定額で助成する。
総務省の家計調査(2人以上世帯)によると、23年度上半期の牛肉への支出額は前年同期比5%減の1万157円。購入数量も減少傾向にある。背景には物価高騰に伴う消費者の節約志向の強まりがある。
同省は「和牛肉の需要が軟調で、肥育経営だけでなく繁殖経営にも影響が出ている。今後の需要につながるよう後押ししていきたい」(食肉鶏卵課)と話す。
訂正 23年度上半期の牛肉支出額が「前年同期比4%減の1万5090円」とあったのは「5%減の1万157円」の誤りでした。「購入数量は同21%減の2・4キロ」を削除します。