過疎地でドローンを使った買い物支援が広がっている。国土交通省の調査(2023年3月末時点)によると、過疎地でドローン配送を実証・導入した事例は43地域に上る。高齢化で運転免許証を返納する高齢者が増え、トラック運転手が不足する「物流2024年問題」も迫る。買い物難民の増加が懸念される中、ドローンの活用が進む。
中山間地にある徳島県佐那河内村では23年11月、ドローンによる買い物代行サービスが始まった。事業を手がけるのは「ネクストデリバリー」(山梨県)。利用者からの注文を受けた同社が、村内の商店やコンビニから食料品を集め、遠隔操作するドローンで空き地など15カ所へ配送する。
運べるのは縦・横・高さの合計が80センチ、重さ5キロまでの荷物。商品代金の他、10%のサービス料と運送料300円がかかる。村の70代女性は、「普段から農薬散布に使っているので、ドローンへの抵抗はない。免許を返納したら使いたい」と期待を寄せる。
同町では、市街地から離れた場所で酪農家が点在している。農家1戸のためにトラックを数キロ走らせるのは非効率なため、以前から配送にドローンを使っていた。同町は「人件費や手間が大幅に減り、事業が続けやすくなった」と話す。
ドローンの利用が進む背景には、機体の進化や規制緩和もある。国交省は「今後は1人が複数のドローンを動かせるようにするなど、省人化につながる技術開発を進める」としている。