基本法改正案概要 基本理念に「価格形成」 「合理的費用」考慮を明記
世界の食料需給の変動や地球温暖化、国内の人口減少といった変化に対応するため、改正案では現行の基本理念を見直し、関連する基本的施策を定める。
基本理念の一つとして「食料安全保障の確保」を規定。その定義を「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」とする。合理的な価格形成の他、輸出で食料の供給能力を維持する考え方も盛り込む。
こうした基本理念を踏まえた基本的施策として、輸送手段の確保や、相手国の多様化による農産物や農業資材の安定的な輸入、輸出産地の育成などを位置付ける。価格形成を巡っては、関係者の理解増進や費用の明確化などを規定する。
環境も柱の一つに据える。新たな基本理念として、食料システムの環境負荷低減を通じて環境との調和を図ると規定。農業生産活動などによる環境負荷低減の促進を基本的施策として定める方向だ。
生産性や付加価値の向上で農業の持続的な発展を図る方針も基本理念に追記する。基本的施策には、現行法が重視する「効率的かつ安定的な農業経営」以外の多様な農業者による農地の確保、JAや企業などサービス事業体の活動促進、農業資材の価格変動の影響緩和などを位置付ける。
農村を巡っては、地域社会の維持に向けて農村を振興する考え方を基本理念に追記。農地保全につながる共同活動や地域資源を活用した事業活動の促進などを基本的施策とする。
通常国会は26日に召集される。農水省は基本法改正案を含め6法案を提出する方針だ。