熊被害、広域管理で抑制 4府県連携を報告 兵庫県がシンポ
環境省によると本年度の1月末までの人身被害者数は死亡6人を含む218人で、過去最多となっている。
センターの梶光一所長は「熊は潜在的に高い繁殖ポテンシャル(可能性)がある」と説明。被害の抑制と適切な個体数管理に向けて「絶滅しない水準」と「地域社会が受け入れられる水準」を擦り合わせていく必要があると指摘した。
京都、兵庫、岡山、鳥取の4府県による広域管理協議会の活動内容を報告。二つの大きな地域個体群が4府県にまたがって生息する中、府県で独自に実施していた個体数推定を統一。広域での管理方針も定めた。同センターの担当者は、広域の協議会設立後、捕獲などの強化によって各群の個体数増加は抑えられているとし「出没時の対応なども広域で展開する必要がある」との考えを示した。熊が人の生活圏に出没する頻度は、熊の食料となるブナやコナラなど堅果類の豊凶も影響を与える。近年、兵庫県内の一部の地域で熊が食べた物を調べたところ、堅果類はわずかで、アオハダなどの液果類が多かったことを担当者が報告。「堅果類だけでは予測しにくい場合もある」と今後の予測の課題に挙げた。
出没情報 3月に増加
年明け以降の熊の出没情報は例年、3月にかけて増えていく傾向にある。昨季は各地で人身被害が相次いだだけに、今季も屋外での農作業時などは警戒が求められる。
都府県からの聞き取りに基づく環境省の公表データによると、2022年度の出没情報は1月が42件、2月が50件。3月になると98件に増えた。都府県別だと3月は岩手16件、長野8件、兵庫7件、島根9件など、東北から中国地方まで本州各地で報告されている。