4月の農産品輸出15%増 米国向けは〝駆け込み需要〟で伸び トランプ関税懸念で
1次農産品が前年比15%増の389億9000万円、加工食品が8%増513億3000万円で、農産物全体では14%増の936億8400万円だった。
米政権による10%の追加関税は、4月から発動している。ただ、米国向けの農林水産物・食品の輸出額は前年比23%増の252億円で堅調を維持。7月に追加関税の上乗せ分の停止期間が終わることに備えた駆け込み需要に加え、「日本の食品に対する現地の引き合いが強く、関税の影響は限定的」(同)との受け止めが商社などで出ているという。
米国向けの輸出額を品目別に見ると、米が同5割増の2億7700万円、緑茶が同8割増の20億5100万円で大きく伸びた。一方、牛肉は同2割減の6億8000万円で、「現地の顧客から入荷を見合わせたいとの声が一部あった」(同省食肉鶏卵課)とし、関税の影響がみられるケースも少なからずある。
米国を含む全体の輸出額を品目別に見ると、米が同29%増の12億1100万円、パックご飯が同69%増の2億500万円、緑茶が同86%増の47億800万円、牛肉が同14%増の59億8500万円だった。緑茶は、加工品などで使われる例の多い粉末を中心に、英国やタイ向けが大きく拡大。牛肉は台湾やマレーシア向けが大幅に伸びた。
今後の輸出動向には不透明さが残る。米政権による追加関税の行方や、米国や中国など主力の仕向け先の経済が不安定なため。安定的な輸出拡大に向けて、輸出先の多角化が重要性を増している。
(鈴木雄太)