
直近で値上がりが目立ったのは2024年。日農平均価格(各地区大手7卸のデータを基に算出)を見ると、野菜主要14品目は1キロ180円、果実主要12品目は同491円で、いずれも過去10年で最高値となった。
大きな要因が高温だ。平均気温が平年を1・48度上回り過去最高を記録、収量が伸び悩んだ。24年の取引量は野菜主要14品目は約111万トン、果実主要12品目は26万トンでいずれも過去10年で最少だった。
24年の野菜の相場と気候変動の相関を詳しく調べると、異常な高温や大雨などが発生した数カ月後に価格が高騰していることが分かる。例えば、24年の冬(23年12月~24年2月)は、平均気温が平年より1・27度高く、過去2番目に暑い冬となり、3月の寒気や雨の影響で生育や収穫作業が遅れた。こうした影響で、4月の主要野菜14品目の日農平均価格は平年比2割高になった。

記録的な暑さとなった24年の夏。6~8月の夏の気温は過去最高タイの平年比プラス1・76度を記録し、7月には東北中心に大雨被害に見舞われた。その結果、9月の主要14品目の日農平均は、取引量が平年より1割程度落ち込み、価格は2割高になった。
相場が大きく上がっても、農家がもうかっているかといえば、そうとも言い切れない。収量が少ない上、生産資材コストも高止まりしているからだ。
キャベツを対象にした農水省の試算によると、21~23年の3年間平均の生産者収益は、10アール当たり8万360円。ウクライナ危機などに伴う生産資材価格が高止まりする中、18~20年の3年間平均と比べて、33%も減った。
まだ試算はないが24年産についても同省は「キャベツだけでなく、価格が高かったからといって生産者収入が高いわけではない」とみる。キャベツ産地のJAあいち経済連は「高温により収量が減った。以前価格が低迷していた時期もあり、長い目で見れば農家はもうかっているとは言い難い」とする。
<取材後記>
気象庁によると、24年の世界の年平均気温は平年比プラス0・62度で、統計開始以来最も高くなった。世界でも高温や大雨など異常気象で、農業被害が多発している。国内農作物の価格高騰を海外からの輸入で補うという考えは危険だ。日本では今年も暑さが早くも本格化している。常に気候変動のリスクと向き合い生産している農家を思い、応援する機運を盛り上げたい。(藤平樹)
