ドローン農薬1000突破 野菜伸び顕著 1年で登録3割増
水稲先行、果樹は目標と差
一般的な農薬散布用のドローンは薬剤タンクの容量が10リットル程度と少ない。高濃度・少量で散布できるドローン向けの農薬の数が限られるのが課題だった。同省は2019年、同年2月末時点で646だった農薬登録数を23年3月末までに200増やす目標を設定。ドローン向けの申請手続きを簡素化し、産地が登録を求める薬剤をメーカーにつなぐなどして登録を促した。
22年3月1日時点で品目別に最も登録数が多かったのは水稲で、21年3月末より15増えて507。水稲の共同防除で使われる無人ヘリコプター向けの薬剤が使えるため、当初から多かった。野菜類は同165増えて224、芋類が42増の77、豆類は10増の76、麦類が2増の58、果樹類が15増の38――と続いた。
19年2月末からの3年間で登録数が6倍になった野菜類はドローン防除の要望が強く、23年3月末の目標だった121を大きく上回った。だが、殺虫剤の登録が多く、殺菌剤は少ない傾向があるなど「体系的に利用するにはまだ少ない」(同省植物防疫課)という。ただ農薬メーカーによる登録申請は増えており、今後、登録数の拡大が見込まれるという。
一方、果樹では、葉裏や果実に薬液が届きにくいことなどから登録が伸び悩み、23年3月末の目標69に届くかは見通せない。同省は引き続き、メーカーに働き掛ける。
ドローンによる農薬散布は、作業の省力化や、ピンポイント散布による薬剤使用量の抑制などが期待できる。農家の高齢化や規模拡大を受けて散布面積は急拡大しており、20年度は前年度の1・8倍の11万9500ヘクタール。同省は22年度までに100万ヘクタールにする目標を掲げている。