価格転嫁の拒否横行 小売りが不当対応 食品製造業に調査
21年12月に政府はサプライチェーン(供給網)全体で適正な価格転嫁が実現するよう「転嫁円滑化施策パッケージ」を打ち出した。農水省は食品製造業者と小売業者間の適正取引推進ガイドラインを作成。これらを受け同センターは21年度から、価格転嫁の不当な対応の具体例を初めて調べた。
食品製造業者からは「値上げのお願いに行っても一切認めてもらえない」(麺類)、「値上げ交渉しているが、他社の価格を引き合いに出し、価格改定に応じてもらえない」(水産食料品)、「価格転嫁で現状の卸価格の据え置き期間の延長を要請されている」(肉製品)など、価格引き上げが厳しいとの声が多かった。
同ガイドラインでは、原材料価格などコストが大幅に上昇し単価引き上げを求めたにもかかわらず、一方的に単価を据え置くことは、下請法の「買いたたき」や、独占禁止法上の優越的地位の乱用における「取引の対価の一方的決定」に該当する恐れがあるとする。
同センターは「食品製造業者はコスト増を企業努力では吸収できず、価格を引き上げざるを得ない状況にある」と指摘。22年度も調査を継続し、実態把握や取引慣行の改善に取り組む方針だ。
同センターは毎年、食品製造業者を対象に取引実態を調査している。22年2月に294社から回答を得た。