[論説]機運高まる女性活躍 現場の声生かし改革を
JA共済連は、今年度から、多様な人材が活躍できる職場づくりを目指して、各県本部の職員が意見を交換する場として「D(ダイバーシティ)・カレッジ」を立ち上げた。初回のテーマは「女性活躍」。21県本部の女性職員が悩みを共有し、解決に向けてまずは相談しやすい環境をつくることや、業務内容を共有し合うことを確認した。誰もが働きやすい組織にするための第一歩であり、歓迎したい。
5月には、全国7JAが集まった「女性職員活躍サミット」も開かれた。JAで働く女性職員と組合長が日頃からの思いや不安を本音で語り合い、出産や育児制度の充実に向けて課題を共有した。
農業現場でも日本養豚事業協同組合が、養豚業界で働く女性を集めた初の“女子会”を開いた。女性の比率が少なく人手不足の業界だけに、出・退勤時間の融通など柔軟な制度を求める声が相次いだ。
若い人はすぐやめてしまう――と嘆く前に、組織としてやるべきことはある。少子高齢化の中、JAグループや農業現場にとって人材の獲得や育成は重要な課題だ。育児休業や時短制度などは整ってきたが、肝心なのは「取得のしやすさ」である。だが、仕事を肩代わりする人に遠慮して、休みづらいとの声は多い。
現場で働く女性たちからは、「女性が研修に参加する機会が少ない」「女性にメーンの仕事を任せてもらえない」「女性だからと清掃を任される」などの声も相次ぐ。無意識にこれまでの慣習として続けているかもしれないが、一人一人の能力が存分に発揮されていないことになる。女性のキャリアアップ支援を、いま一度見直してほしい。
職場環境の改善へ、声を上げるのを諦めないでほしい。JAの中には、育児に伴う時短勤務を子どもが小学6年生になるまで延長したり、有給休暇を30分単位でとれるようにしたりと、業務の効率化により、実現した例もある。
JA共済連は女性たちの声を基に行動計画を考え、職場環境の在り方を提言する。女性職員活躍サミットに参加した7JAは、男女共同参画に向けた意欲的な行動計画を策定した。日本養豚事業協同組合は女子会で出た意見を提言にまとめた。行動計画や提言はぜひ具体化してほしい。
JAなど組織トップの姿勢も問われている。優良事例を共有し、横展開していこう。