[論説]女性組織活動の今後 性別超えた展開視野に
JA女性組織は食農教育やイベントなどを通じ、地域住民と農業農村、JAをつなぐ役割を果たしている。女性組織の活動を研究する酪農学園大学の増田祥世准教授は、女性部活動は「時代を超えた普遍的な価値を持っている」とみる。自身もJA女性部に所属し活動している。
だが、少子高齢化や若者の人口流出などで、女性組織の部員減少に歯止めがかからない。JA全国女性組織協議会(全国女性協)によると、1999年に約143万人いたメンバーは、2024年には約37万人と大幅に落ち込み、活動を停止した組織もある。活動を続けていくには、新たなメンバーの確保が急務となっている。
全国女性協は、通常総会で25年度の活動は、子ども食堂やフードドライブなど食を通じて地域を支えるとともに、食料安全保障について発信すると決めた。全ての組織で、次世代層のフレッシュミズ組織を設ける方針も掲げる。
活動の幅を広げるためには性別を意識し過ぎないことが重要だ。北海道のJAピンネ女性部は、毎年「女性まつり」として部員自作のアクセサリーやパン、雑貨などを持ち寄って販売していた。だが、今年からは男女の区別なく、地元の人により親しまれるイベントにしようと、名称を変更。「みんなのマルシェ」と名付け、男性も参加できるようにした。小さな一歩が、やがて組織全体の変化を生む。男性、女性に縛られない取り組みを広げたい。
組織の在り方そのものを見直したJAもある。三重県のJA伊勢女性部は以前、男性の参加申し込みがあっても「女性部活動だから」と断ってきたという。加えて役員のなり手がいない問題にも直面。そこで22年度、女性部を「JA伊勢ファンクラブみらい」に組織を改変。加入対象を女性に限定せず、役員制度も廃止した。その結果、会員数は女性部だった21年度(1007人)から、25年度には3116人と3倍に増加。今や男性会員は654人と2割に上り、JAファンが増えた。
JA青年部も、女性部と連携して食農教育や農業体験などに取り組んだり、女性が加入する青年組織も増えている。持続可能な農業・農村を築くには、違いを排除するのではなく性別や国籍などの違いを超えて、農村と都市が連帯する必要がある。