「みらい農業学校」開校 雇用就農へ人材育成 福島県南相馬市
全国から15人、被災地再生へ
福島県南相馬市は11日、農業法人への就農に必要なスキルが1年で学べる社会人向けの教育施設「みらい農業学校」の開校式を開いた。全国から15人が入学。タマネギ、キュウリなど、園芸作物を中心とした栽培技術や経営手法を学ぶ。
同校は市が開設し、社会人向けの農業教育事業を手がけるマイファームが運営する。同社によると、雇用就農に特化して学べる学校は全国でも珍しい。東日本大震災後、減少が続く同市の担い手の育成・確保を目指す。
同校は週5日の全日制で、敷地内には2ヘクタールの実習圃場(ほじょう)を整備。タマネギ、ネギ、キュウリ、ブロッコリーなど、市が生産振興する園芸作物を主体に栽培技術などを学ぶ。近隣の法人に出向き、環境制御型の施設園芸や、大型機械を扱う実習も予定する。
JAふくしま未来による園芸団地での研修や、系統出荷などの流通を学ぶ講座も予定。農機メーカーによる農機の扱い方を学ぶ講座もあり、卒業後は即戦力として法人で働けるようにする。
中央大学を休学してみらい農業学校に入学した埼玉県入間市出身の齋藤士真さん(20)は「援農ボランティアを通じ、農業に魅力を感じて入学を決めた。全力で頑張りたい」。福島県富岡町出身の宇佐見和恵さん(33)は「将来は独立を目指し、豊かだった震災前の田畑の風景を取り戻したい」と語る。
南相馬市の門馬和夫市長は「日本の農業の未来に新しい風を吹き込むことを期待している」と話した。