
後継者が定まったことで、父上の経営に対する向上心が刺激されたことは喜ばしいことです。それはさておき、①従業員として働く②共同経営者として従事する③経営を分離して自らが独立経営者となる──など、あなた自身の考えを父上に伝え、将来の経営継承に向けた話し合いが不可欠です。その際、青色申告書など経営に関する資料を基にしてください。
新規投資の判断については、あなたが経営を譲り受けた後のことも考えて、「私の考えを反映してほしい」と、時間的な余裕を求めてください。そして父上の了解を得たならば、作業日誌を1年間記帳してください。それを基に、改善点を列記し、それに関する個々の投資について、費用対効果を見極めて優先順位付けしてはいかがでしょうか。
費用ですが、あなたが融資を受けて負担する方が、経営継承時の贈与税など税金面で有利に働くかもしれませんので、検討されてはいかがでしょうか。もし就農後5年以内に経営継承が確実であるか、また経営を分離して父上が露地野菜で、あなたが施設野菜など異なる農業に挑戦する場合は、認定新規就農者の認定を受けることで、青年等就農資金(無利子融資)や経営開始資金など国の支援事業の対象者になり得ます。いずれにしても、市町村の農政担当部局に相談してください。
なお、資材高が心配なようですが、将来安くなるかどうかは分かりません。必要な時が投資の時と考えるべきですね。
(元全国新規就農相談センター相談員・宮井政敏)