ギョーザ、その名も「グンマ」 “群馬愛”と県産たっぷり 仕掛け人は老舗旅館と農家
ギョーザの正式な商品名は「三つのうまっがギュッとつまった『グンマ』という名の餃子(ぎょうざ)」。
仕掛けたのは、みなかみ町の老舗温泉リゾート「源泉湯の宿松乃井」の福丸泰正さん(49)。3年前まで、兵庫県内の人気道の駅で支配人を務めていた経歴の持ち主だ。
群馬県内の観光業が落ち込む中、道の駅運営で培ったノウハウを生かし、食を核に地域の魅力をアピールしようと、松乃井で商品開発などを企画。県内の農家や、食肉卸の上州ミート(前橋市)などに声を掛け、コラボ商品の第1弾として今回のギョーザを完成させた。
ネーミングやパッケージデザインは、同県太田市のコピーライター・香山直さんに依頼。数種類の候補の中から「○○ギョーザでは普通過ぎて埋もれてしまう」(福丸さん)と、インパクトのある「グンマ」の名前を選んだ。香山さんは「一番あり得なさそうな名前が採用された」と笑う。
キャベツは、中之条町(旧・六合=くに=村)の標高1100メートルの畑で、夏期限定生産されるやまぐち農園の「419キャベツ」を使用。同園の山口英義さん(53)は「新型コロナウイルス禍で地元の温泉向けの販売が大きく落ち込む時期もあった。ギョーザなら旬以外でも気軽に家で食べてもらえて、今の状況にマッチした商品」と期待する。
歯触りや風味抜群のニラを提供した伊勢崎市の長沼農園の長沼芳憲社長は「群馬県は全国的にも歴史のあるニラの産地。ギョーザを通じ、知名度をもっと上げていきたい」と力を込める。豚肉は、養豚が盛んな同県のブランド「上州麦豚」を使った。
ギョーザの製造を担う金星食品(太田市)の直売所や併設の自販機で、15個入り1080円で数量限定販売する。同社のネット通販でも同1296円で購入できる。同社の加藤登美男営業部長は「素材が良いので、まずは何も付けずに食べてみてほしい。岩塩を少し付けてもおいしい」と薦める。
松乃井の福丸さんは「地域に人を呼び込むのは食。今後も県内の食材で商品を開発し、群馬を盛り上げていきたい」と意気込む。