特殊被覆×瞬間冷凍、果実消費期限100倍に 農家手取り増やしたい 山形出身大学生考案
新しい技術は特殊コーティングされた生果を零下35度で急速冷凍することで、取れたての鮮度やおいしさを維持するもの。さらに真空パックを使うことで消費期限は1年以上、年中冷凍庫に保管できることで季節を問わず、好きなタイミングで食べることができる。
中川さんは国産の高級フルーツにこの技術を活用し、「Reica―零果―」という商品名で販売。ブドウ「シャインマスカット」やサクランボ「佐藤錦」など7品目の果実が商品化されている。半解凍の果実として食べるだけでなく、スムージーなどの材料として活用できるという。中川さんはこの技術を特許出願する予定だ。
中川さんは父がサクランボ農家で、起業にも関心があった。2021年3月に正規品から規格外まで農産物の卸売業などをする会社「FARMER’s」を立ち上げた。しかし、青果物は3日前後で品質が劣化し始めるものもあり、在庫をさばき切れない現実に直面した。消費期限を長くし、長期の保管も可能にしたいと考えた時に思い付いたのが瞬間冷凍だった。
中川さんは持続可能な農業の実現を目標に掲げる。海外と比較した場合、日本の農産物は高品質だとした上で、「価値あるものにさらなる付加価値を与えて、農家の手取りを増やしたい」と話す。将来は今も行っている「Reica―零果―」の輸出拡大を見据える。