米粉をブレンドした小麦粉製品が、相次ぎ登場している。米粉を使うことで揚げ物や麺類などの食感が向上し、健康性もアピールできる。米粉単体より用途の幅が広がるのも魅力だ。米粉と小麦粉の“いいとこどり”商品が注目を集める。
三菱食品(東京都文京区)は9月下旬から、国産の米粉と小麦粉を混ぜた揚げ粉を販売している。商品は「から揚げ粉」(70グラム、216円)と「天ぷら粉」(300グラム、280円)の2種類を展開。「小麦粉に米粉の長所を加えることで、さらなる付加価値を狙った」(同社)商品だ。
小麦粉は衣付きが良くジューシーに仕上がる利点があるが、揚げてから時間がたつと食感がべたつきやすい課題がある。そこで、吸油率の低い米粉をブレンド。揚げたてのジューシーさはそのままに、カラッとした食感の持続を実現している。
国産原料であることに加え、「近年、存在感を高めている食材で注目していた」ことから米粉を使った商品を開発。一度の調理で使う油の量や摂取量も減ることから、健康面でも継続して使いやすい利点を強調する。
麺類メーカーの菊水(北海道江別市)は、国産米粉と北海道産小麦を使った「小麦とお米のしなやか拉麺(ラーメン)」(2人前、330円)を9月から販売している。米粉を30%配合することで、従来の小麦粉だけの麺と比べてしなやかな食感とつるみのある喉越しに仕上げた。冷やすと食感に弾力が出ることも特長で、「温かい麺料理はもちろん、冷たいラーメンにも合う」と活用の幅をアピールする。
以前から米粉と小麦粉を使った商品を作り続け、人気に弾みを付ける店もある。米粉パン専門店を展開するアールベイカー(東京都品川区)は、2011年の初出店から、33店舗にまで拡大。看板商品のクロワッサンを中心に、米粉ならではのもちもちとした食感で話題を呼んでいる。
同社は、「パン・新時代」を掲げ、米粉の活用にこだわる。パンには平均で約60%の米粉を配合し、小麦粉だけでは難しい「高い栄養価としっとりもちもちとした新食感」を両立した。「食料自給率向上にも貢献できる」(同社)など、米粉の魅力を強調する。(鈴木雄太)