
高糖度が主流に
トウモロコシは近年、高糖度の品種開発が進み、「ゴールドラッシュ」「恵味(めぐみ)」「味来(みらい)」など“スーパースイート系”と呼ばれる各シリーズが主流となった。大手青果卸の担当者は「甘くおやつ感覚で食べられる野菜というイメージになった」と指摘。レンジで温めれば食べられるといった点も、食の簡便化需要を捉えている。レシピ検索サイトを運営するクックパッドによると、昨年のトウモロコシの検索頻度は10年前の2・8倍。トウモロコシと同時に検索される機会が最も多い単語には、「レンジ」が上がる。
価格の推移も堅調だ。トウモロコシの日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は上昇傾向で、2023年は1キロ当たり243円で10年前の1・2倍。同社が毎年発表する「食トレンド予測」でも、24年にヒットする食材に野菜で唯一選出された。「高糖度でブームになったサツマイモのように、今後、スイーツがはやる可能性もある」(同社)。

EC販売伸びる
時間とともに風味や甘味が低下しやすいトウモロコシは、鮮度が特に求められる。こうした条件下で販売を伸ばすのが、個別の生産者から消費者が直接購入できる形態のECサイトだ。
「ポケットマルシェ」では、トウモロコシの販売金額が、24年7月は前年同月より1割増。朝取りや、複数品種が食べ比べできる商品が人気という。「食べチョク」を運営するビビッドガーデンも「注文数の伸びは大きい。品種や色を指定しての検索も増えている」と指摘。フルーツコーンと呼ばれるほど強い甘味の「甘々娘」や、白色の「ピュアホワイト」などを売れ筋に挙げる。
産地でも鮮度や糖度を売りにしようと、ブランド化の動きが進む。JA兵庫南は、独自ブランド「スイートモーニング」の規格として、スーパースイート系の品種で朝取り、3L以上といった条件を設定。JAの直売所などで販売する。
価格は1本当たり220円と付加価値を付けた値段で販売するが、販売時期が近くなると問い合わせが相次ぐ。ブランドに携わりたいとして新規就農者も生まれており、JAの担当者は「栽培面積を広げていきたい」と話す。
(後藤真唯子)