ハウス防除にロボット 葉裏にもしっかり、薬剤浴びるリスク減 四国電力など
農業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む中、ハウス栽培での防除作業はスペース面の制約から、今も防護服を着用しての手散布が一般的。重労働でもあるため、四電は子会社がシシトウ産地向けにロボットを開発した実績を踏まえて、2024年から松山市のIT企業・ディースピリットと開発を進めている。
実証地として、愛媛県西予市のトマト農家と連携。現在は最大幅54センチ、高さ180センチで、大小の車輪4つで走行する自走型の噴霧器を開発中だ。比較的小型で、ノズルの角度や位置を自由に設定できるシンプルな作りも売りだ。
機器に動力噴霧器のホースを接続して薬剤を供給する仕組みで、縦に等間隔に設置したノズルが左右方向に散布する。前後左右などの動きはリモコンで、薬剤の量は動噴本体で調節することで、手作業と遜色ない仕上がりを目指す。
重視するのが、走行性の改良だ。ハウス内に多少の段差、凸凹があっても安定するようタイヤの幅を広くするなどして対応。機器の起動の速さや、市販のゲーム機のコントローラーを使った操作の簡素化にも取り組む。
3月上旬には(1)直進性(2)葉への付着性(3)操作性(4)作業時間(5)負担軽減感--の評価試験を実施。協力する西予市のトマト農家・熊谷琢磨さん(57)は「操作に慣れていないので作業時間はまだ短縮できていないが、防護服を着なくていいのは良い。気持ちも楽」と話した。
四電は、実証試験を分析した結果を3月中にもまとめる方針。「地域農業の課題解決にどう役立てていくか、新しい取り組みのベースとしたい」(新規事業部)と説明する。