
同機構を通じた水田の貸し借りは、基盤整備が進み8割に上る。一方で畑は2割ほど。区画を広げて担い手への集積を進める上で、境界木が集積の進まない一因と機構はみる。
そこで昨年11月から機構は、撤去した境界木をマーカーで代用する実証を始めた。畑に深さ約60センチの穴を掘り、長さ17センチほどの地中マーカーを埋める。マーカーは地中にある水道やガス管の位置などを探すのに使われる。位置は専用探知器で表示する。1本約1500円。防水性や耐腐食性を備え、電池不要だ。産業向けに20年以上前から利用され、不良は報告されていないという。専用探知器は、マーカーが発する磁界を受信して、液晶モニター上の表示や音で位置を知らせる。

会場の畑70アールには14本の境界木が植えられていた。レタスなどを作る内田信一さん(64)は「木があるせいで耕作を断ったこともある。マーカーなら境界を気にせず農作業に集中できる」と話す。地権者の二宮賢一さん(82)も「木をなくすと農地を借りてもらう上で有利になると思う」と期待する。
伊藤次長は「マーカーに加えて、全地球衛星測位システム(GNSS)で緯度と経度を確かめたダブルチェックが重要となる。マーカーの普及で畑の集約を進めたい」と話す。同機構によると埼玉や千葉、宮崎や新潟の自治体関係者などからも問い合わせが相次いでいるという。
一方で探知器は、1台40万円と高額だ。農家からは購入時の補助を行政に求める声が上がる。農水省経営局の佐藤洋介経営専門官は「農地集約で境界木は全国的な課題。都道府県で探知器を用意することも考えている」と話した。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=lNQiIPceNmY