![柿の成熟に期待を寄せる佐藤部会長(右)とJ―FAPメンバー(福島県伊達市で)](/media/2023/10/06/l/20231006_j0oapiplbbzjyglmb07g.jpg)
![地域発 未来へ](/media/2023/04/02/l/20230402_sch3orq1h18fjcjxpeqr.jpg)
あんぽ柿は伊達市梁川町五十沢地区発祥の特産品。半生でトロリとした食感と甘味が特長だ。1922年に硫黄燻蒸(くんじょう)技術が確立され、全国の干柿産地に広まり、翌1923年に出荷組合が創立。2022年で100年を迎えた。
GI登録は、東日本大震災の発生と東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う放射性物質の影響による産地の存続危機や、他産地との差別化などが背景にある。東日本大震災の発生後は、生産者らが約26万本もの樹体の除染をした。安全な原料柿の確保、全量非破壊検査の体制整備などを経て、13年から加工・販売が再開した。
JAは、「伊達のあんぽ柿」100周年を記念した記念式典や、「伊達のあんぽ柿の日」として毎年12月から2月の13日を記念日にするなどブランド確立を進める。公式キャラクター「あんぽちゃん」の制作なども通じ、幅広い年代の認知度向上に努めてきた。
JA職員による農畜産物PR隊「J―FAP」も一役買う。動画投稿サイト「ユーチューブ」の「みらいろチャンネル」ではあんぽ柿の特長や作り方などを動画で分かりやすく説明し、好評だ。
あんぽ柿加工選別包装施設「あんぽ工房みらい」の稼働による生産者の作業負担軽減や、JAで開く農業塾あんぽ柿コースで新規就農者を育成し、担い手不足解消を図る。また、東京農業大学から農業実習生を受け入れることで地域の農業者で労働力を必要とする組合員を支援する。
今後は、GI登録産品である利点を生かし、国外も視野に入れ、一層の販路拡大を目指す。20年度にはタイ、21年度にはタイに加えてシンガポール、22年度には試験的に冷凍あんぽ柿をドバイに向けて輸出した。
JA伊達地区あんぽ柿生産組合の佐藤孝一部会長は「100周年は200周年の第一歩。生産者は減少しているが、出荷量を維持し先人たちの思いをつないでいきたい」と意気込む。