園地整備し始めやすく
愛媛県のほぼ中央に位置するJAえひめ中央は、「未来へ繋(つな)げる魅力ある産地づくり」を目標に掲げて若い担い手育成に力を入れる。2013年に新規就農研修センターを創設し、22年までに108人を受け入れ、10年間で75人の新規就農者を育成してきた。全国からの新規農業参入希望者や地域の農家後継者を研修生として受け入れ、新規就農者の育成と定着、農家の事業継承につなげている。
![地域発 未来へ](/media/2023/04/02/l/20230402_sch3orq1h18fjcjxpeqr.jpg)
JA管内では農家の高齢化に伴い、ここ10年で農家と栽培面積が約30%減少。担い手の確保と優良園地の保持が課題だ。そこでJAでは、13年から優良園地を農家から借り受けて整備を開始し、研修生の受け入れを始めた。現在、松山市のかんきつ研修圃場(ほじょう)約3・8ヘクタールと伊予市の野菜研修圃場約60アールで、2年間のカリキュラムで研修生を育成している。
同センターでは、「経営・労働・技術」の三つの力を身に付け、「儲(もう)かる農業」を営むための支援を実施。作業実習による技術習得の他、就農計画や税務申告など経営のための研修や、優良園地視察などを行う。
若手農家からは「農家以外や他県から就農する場合、園地の確保が難しい」との声が多い。このためJAでは、条件の良い園地で耕作放棄地になっている農地の整備と植栽を行い、研修終了後に若手に引き渡す。
さらに、優良園地確保に向け、18年から行政や地域と一体となり、管内7地区で基盤整備を積極的に進め、完成した園地から土づくり、苗木の定植を行っている。そのうち松山市下難波地区では研修生が就農を予定する。この取り組みは評価が高く、農水省は18年度の農地中間管理事業の優良事例として紹介した。高付加価値の果樹栽培が可能な施設団地の整備で、産地は今後の収益増加に期待する。
かんきつ研修圃場で実習をする新規就農研修生(松山市で)
研修終了後、就農した卒業生に対し、行政と連携して定期的に園地を見回り、営農定着に向けた支援もする。JA経営指導員による経営分析や診断を行い、営農計画を基にした営農指導も進める。22年10月には、JA青壮年部中央ブロックを立ち上げ、卒業生や新規就農者が加入することで、情報共有や相談できる場を設けた。
JA営農部の亀岡功生部長は「一人でも多く仲間づくりを進め、今まで以上にやりがいを持って農業経営を実践できる産地づくりを進めていきたい」と意欲を示す。
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