「東伯和牛」の生産は同社が担い、和牛肉のうま味が増すように牛へ与える飼料にこだわる。濃厚飼料の基礎はJA西日本くみあい飼料に製造委託し、5種類前後の食品残さを加えたものを基準にする。出荷前の10~12カ月にサツマイモを加えた仕上げ飼料を与え、脂のうま味を高める。
一方、粗飼料は米国産乾牧草と中国産稲わらを独自に輸入する。20年以上契約する現地農家にカットする長さや繊維の状態などを細かく要望し、農場向けの品質を確保する。
同社はJA全農ミートフーズを通じ、年間900頭の「東伯和牛」を出荷。山下卓雄会長は「消費者が求める味を第一に『東伯和牛』の魅力を全国に届けていきたい」と話す。
JAは、とうはく畜産が和牛生産に専念できるよう、導入出荷やデータ集計を手伝う。もと牛を導入する際の事務作業を代行して負担を軽減。出荷時には、枝肉の格付けや販売状況などを1カ月ごとに集計し、畜産経営に役立てる。データを基に、同社の事業もJAが共に計画する。
販売では、JAが全農ミートフーズと小まめに協議。有利販売に向け富裕層をターゲットにし、首都圏の高級スーパーに10年以上出荷を続ける。JA畜産部の門木茂彰部長は「生産者とJAが密に連携し、産地発展につなげていきたい」と意気込む。
「東伯和牛」を味わえる店舗の一つ、倉吉市の焼き肉屋「焼肉どばし」のオーナー、土橋繁幸さん(39)は「品質にブレがなく安定しているため信用できる」と評価する。