青年部事務局を務めるJA職員が、近年のサツマイモブームをきっかけに、部員に栽培を呼びかけ、「おもしぇ、やってみっぺ」と部員らが動いた。
20年4月に「さつまいも生産組合」を設立。無肥料・無農薬にこだわった栽培を始め、干し芋の原料として、関東圏などで加工事業を展開している会社に主に出荷している。
栽培を始めた当初は、機械の操作方法などが分からない状態だった。地域でサツマイモを栽培するのは珍しく、近隣の生産者に聞いても分からなかったため、「ユーチューブ」を活用。部員同士で試行錯誤を繰り返し、現在まで規模が拡大している。
JAが20年にサツマイモを「重点品目」として位置づけ、JA独自の農業振興基金で支援を始めたことも、生産拡大を後押ししている。
青年部委員長でさつまいも生産組合の組合長を務める鈴木貴郎さんが、生産仲間と3人で運営している。
焼き芋、大学芋、チップスなど商品や地元生産者から仕入れたイチゴなどの旬の食材を使った商品を期間限定で販売。帽子やTシャツなどのアパレル商品も販売し、市内外から大勢の客が訪れる人気店になっている。
22年からは、石巻市内の支援学級保護者会とサツマイモの収穫体験を行うなど、農福連携にも取り組んでいる。地域農業とサツマイモに関心を持ってもらうことはもちろん、親と子、地域住民との交流の場になっている。
今後は、栽培から加工までの一連の流れを青年部員と一緒に体験してもらうことを検討している。
鈴木さんは「6次産業化に力を入れながら、海外輸出も視野に入れている。いしのまき地域をサツマイモの産地にするため、栽培面積と生産者を増やし、地域農業の活性化につなげていきたい」と今後の展望を語る。