一番印象に残っているのが「けの汁」。ダイコン、ニンジン、ゴボウなどの野菜、ワラビ、フキ、それに高野豆腐、大豆、糸こんにゃくを入れて煮込んだみそ味の汁です。
当時の私はおいしいから喜んで食べていました。でも大人になってから、栄養面のバランスもよく取れていることに気付きました。
主人(芸人のおさるさん)は大阪出身なので「けの汁」なんて全く知らなかったんですけど、一回食べたら、おいしいと感動してくれて。実家に帰るたびに、母がたくさん作ってくれた「けの汁」を冷凍して、東京に持ち帰っています。
子どもにも栄養を取ってほしいと思い「ばあばが作ってくれたんだよ」と出したんですけど、下の子は野菜がちょっと苦手だったので、野菜をよけて食べていたんです。だけど最近になってやっと野菜のおいしさに気付いてくれて。「けの汁」に入っている野菜は小さくカットしているので、食べやすいようです。
下の子は小学5年生の男の子。元気な盛りです。より元気でいてもらうためにも、バランスよく食べてほしい。野菜を食べられるようになってほしいと思っていました。
息子が野菜を食べられるようになった理由を、私なりに考えてみました。地産地消の思いから、最近はなるべく近くで作られた野菜を買うように心がけているんです。あるいは遠くに出かけた時には、その地域で作られた野菜を買ってきたり。それに、なるべく農薬を使わないものを買うようにしています。これは私が好きでやっていることなんですが、子どももそういう野菜から甘味を感じ取るなど、おいしさが分かってきたようです。
この間、北海道のレストランで食事をした時に「近くの畑で今日取れたものです」というアスパラガスが出たんですね。息子はそれをおいしいと食べてくれました。息子がアスパラガスを喜んで食べたのは、それが初めて。取れたて野菜のおいしさを感じたのかなと思いました。
中学2年の娘の方は、もともと野菜が大好き。特にトマトが好きでよく食べています。
実は私もトマトが好きで、娘を妊娠していた時期にやたらトマトを食べたくなったんです。八百屋さんでトマトが大きめの箱に16個入りで売っていたんですが、16個を毎日食べちゃっていたほどです。娘はおなかにいる時からトマトを欲して、私を通じて食べたかったんでしょうか。
私が料理をする時に大事にしているのは、とにかく素材の味を生かすこと。ごちゃごちゃ調味料を入れるのは好きではなく、おいしい食材とおいしい塩があれば、もうそれで十分ごちそうになると思っています。「素材命」です。
振り返ってみると、母の料理もそんな感じでした。東北地方は空気と水がきれいなおかげで食材がおいしいんですよね。良い素材で作ったシンプルな料理とおいしいご飯。これほどぜいたくな食事もありません。
母親の実家はお米を作っていて、子どもの頃はよく行ったものです。実家の田んぼを前にして地元の友だちに「ここ、うちの田んぼなんだよ」と話をしたり。もちろん私の田んぼではないんですけど、美しい田んぼが誇らしかったんです。
母の兄弟は、新米の時期になるとお米を送ってくれます。それがおいしくておいしくて。主人と子ども2人はご飯が大好きで、何十キロも送ってもらうお米もすぐなくなるくらい。朝だけで4合食べるんです。私は毎朝お釜で炊くんですけど、3人の食べっぷりを見ると、ご飯を炊くのが楽しく感じられます。
やまかわ・えりか 1982年、岩手県生まれ。98年、「ミスヤングマガジン特別賞」を受賞してデビュー。バラエティー番組やCMで人気を博す。2007年にお笑いタレントのおさると結婚。10年に第1子となる女児、13年に男児を出産し、現在は2児の母。バスケットボールチーム・岩手ビッグブルズのビューティーアンバサダーも務める。食生活アドバイザー、幼児食アドバイザーなどの資格も持つ。