おじいちゃんは庭いじりが大好きな人でした。金物屋から車で5、6分の所に大きな土地を買って家を建て、庭に池、ブドウ棚、温室を作りました。栗の木、梅の木、イチジクが植えられ、タラの芽、コゴミ、フキのとうなどもありました。
とにかく広い土地です。サッカーグラウンド半面くらいはあると思います。そこで畑もやっていました。 僕が子どもの頃、ゴールデンウイークになると、おじいちゃん、おばあちゃんから「ちょっと畑仕事手伝いに来る?」と言われて、兄と自転車で行ったものです。一緒に耕して、キュウリ、ナス、インゲンマメ、ピーマンなどの苗を植えました。
夏になると収穫の手伝い。「そろそろ収穫できるようになったから、食べにおいで」と呼ばれました。
お昼時になると、おばあちゃんが「そうめんかそばをゆでるよ」と作ってくれるんですけど、その時に「ちょっと畑と相談してくるね」と言うんですよ。その言葉が、今でも僕の中ではすごく鮮明に記憶に残っています。僕もおばあゃんと一緒に畑に行って、食べ頃の野菜を人数分だけ収穫しました。おばあちゃんは天ぷらにしてくれて、そうめんやそばと一緒に食べました。
これを、高校を卒業して群馬を出るまで毎年行っていたんです。
おかげで僕は、この野菜はこの時期になるということを自然に学ぶことができました。今はナスでもキュウリでも春夏秋冬いつでも売ってるので、いつが旬なのか分からない子どもが多いと思うんですけど。 おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってからは、父親と母親がそこに住むようになり、店は兄が継ぎました。今でも同じことをやっていて、ゴールデンウイークになると、兄の子どもたちとうちの子どもたちが一緒に畑を耕して、野菜の苗を植えます。お盆に帰る時には、母親が孫たちを相手に「畑に相談しに行こうか」と収穫をします。
ただしちょっと時代が変わって、植える野菜に変化があります。モロヘイヤやズッキーニなどが加わってきたんです。ホームセンターで売ってる苗も、どんどん様変わりしているようですね。
母は80歳を超えた頃から足腰も弱くなってきたので、畑作業はうちの奥さんが手伝うようになりました。2、3年前からは、お盆の時の料理係も奥さんが担当しています。母の時代までは、取れたて野菜の天ぷらでそうめんを食べることが多かったんですが、奥さんになってから料理も変化。バジルを使ってジェノベーゼソースを作ったり、トマトとナスとひき肉でボロネーゼソースを作ったりして、パスタを食べるんです。奥さんはパンも焼けるので、その知識を応用してピザ生地を作り、野菜のピザを焼いたり。新しいメニューは、子どもたちから大人気です。
おかげでうちの子も、野菜の旬というものを学ぶことができました。この食育は、代々続けていきたいと思っています。 旬の食材といえば、もう一つ。僕は海なし県の群馬で育った分、海への憧れが強かったので、東京に出てから海釣りをするようになりました。釣った魚は僕がさばいて食卓に出します。そのためうちの子たちは、アジは夏がうまい、イサキは梅雨の時期がいいというように、魚の旬にも詳しいです。
子どもたちは魚釣りに誘っても行きませんが、野菜の収穫は大好き。今年のゴールデンウイークも、富岡で楽しんできました。
お盆には、釣った魚を持って実家に行くつもりです。野菜も魚も旬に食べるからこそ一番うまい。バーベキューが楽しみです。
マックンさん 1973年、群馬県生まれ。「ものスタ」「なないろ日和!」(共にテレビ東京)レギュラー。趣味は釣りと料理。ぐんま観光特使、富岡ふるさと大使を務めている。共通の知人の紹介で知り合ったパトリック・ハーランさんと「パックンマックン」を結成。日米文化をネタにしたお笑いで人気を博し、米国で漫才の公演を行ったことも。コンビでラジオ「パックンマックンのワールドで行こう!」出演中。