「ライスレジン」は、新潟県などに工場を構えるバイオマスレジンホールディングス(HD、東京都千代田区)が製造する。破砕米や専用に作付けした国産米を石油原料に配合し、重量ベースで最大70%に米を使う。
従来プラと比べて二酸化炭素(CO2)の排出削減につながる素材とされる。2022年の再生可能資源の活用を促す法施行を機に、企業の環境意識が高まった。海外産バイオマス(生物由来資源)原料の高騰も同素材の浸透を後押しする。
モスバーガーが全店舗のフォークやスプーンに同素材を使う他、牛丼チェーンの吉野家や、日本郵便、自動車メーカーBMWなどは、持ち帰り用の袋を同素材に切り替えた。
23年に入り、新商品も続々と登場。バッグブランドのフミコダ(東京都目黒区)は同素材で作る合皮「ライスレザー」を使った財布を発表。玩具メーカーのカワダ(東京都新宿区)は、新しいダイヤブロック「オコメイロ」を発売した。
バイオマスレジンHDの神谷雄仁代表は「米は日本人になじみ深い原料。需要は急激に伸びている」と話す。
矢野経済研究所の調べによると、22年の国内のバイオプラスチックの生産量見込みは9万2580トンで3年前から倍増している。
バイオマスレジンHDは原料となる米の安定調達に向け、専用米の作付けを進める。22年産では新潟や福島県の休耕田など30ヘクタールで生産。23年産からはJAとも連携し、北海道や栃木、熊本県などを加えた7県の45ヘクタールまで広がる見込みだ。
同社の中谷内美昭副社長が代表を務める農業法人ちーのは、福島県浪江町を中心に専用米を作る。原子力発電所事故の被害のあった休耕田を活用し、22年産では12ヘクタールに作付けをした。
課題は農家の手取り確保にある。国の水田活用の直接支払交付金の新市場開拓用米として10アール2万円の助成や自治体の助成などを活用しているが、「収入は飼料用米などに比べて低く十分とは言えない」(中谷内代表)。
解決に向けて、多収性品種の利用など、生産性の向上に取り組む。食用でないため、肥料や農薬を減らし「収入確保につなげたい」(同)と話す。(鈴木雄太)