揚げ粉や増粘剤にも

和菓子メーカーの本高砂屋の新潟工場(魚沼市)は、ぱりっとした新食感の揚げ粉「フライ米粉フレーク」を、業務向けに販売する。2021年に発売し、新潟県内の飲食店やスーパーを中心に浸透。総菜の唐揚げやパンなどに使われる他、東京都内の人気洋菓子店にも利用が広がる。
同社は、経済性もアピール。吸油率が低く、揚げ油を節約できる上、油が汚れにくいため交換頻度を減らせる。「食用油の高騰にも対応できる商品だ」と小岩裕一工場長代理は力を込める。
新潟県内のJAから調達した米粉を使うが、北海道や愛知県など、他産地の米粉でも試験を進める。「地域の米粉でフレークを要望する声も多い。地産地消で商品価値を高められる」と強調する。

米粉メーカー大手のみたけ食品工業(埼玉県戸田市)は、粉末状増粘剤「米粉パウダー100」を開発。パンの膨らみ、麺などの食感改善が主な用途。22年10月ごろから販売を始め、パン店や製麺業者で利用されている。
効果が類似するゲル状素材もあるが「粉末状のため、日持ちしてより扱いやすい」と鈴木里沙子企画統括室長は話す。常温保存ができ、好みの粘度に調整できる点も特徴だ。
米粉用米の需要は右肩上がりだ。農水省によると、23年度の需要は前年度比7%増の4万8000トン。18年度から5割以上伸びた。農林中金総合研究所の小針美和主任研究員は「小麦の代替ではない、新たな領域を開拓する動きも出ている」と指摘。需要定着のためには「食感やグルテンフリーなど、米粉ならではの価値訴求を強めることが重要」とみる。