アジア中心に市場拡大
農水省の公表によると、2023年上半期(1~6月)の牛乳・乳製品の輸出額は前年比20%増の169億円と勢いがある。シェアの大きい粉ミルクは、輸入原料使用のものが多いものの、国産生乳を原料にしたロングライフ(LL)牛乳やアイスも、アジアを中心に市場が拡大している。
特に日本のアイスは人気が高く、「アイスクリームその他氷菓」の上半期の輸出額は47億円と、前年を3割近く上回る。「日本らしい和テイストのアイスが人気。北海道でソフトクリームを食べてファンになる人も多い」(乳業関係者)という。
国内で生乳の需給安定が課題となる中、メーカーも海外展開に力を入れる。よつ葉乳業(札幌市)は、台湾やシンガポール向けに、北海道産の牛乳を輸出。パッケージには、海外でもブランドとしての認知度が高い北海道のデザインをあしらった。「輸出は年々伸びており、特に台湾向けの伸びが大きい」(同社)という。
「風呂上がり」提案
海外人気のきっかけとなっているインバウンドに向けた提案も活発だ。
指定生乳生産者団体(指定団体)の関東生乳販連は、日本で定着する「風呂上がりミルク」を、英語版の特設サイトで紹介。銭湯の自販機やコンビニといった購入場所や、高品質な日本の牛乳の特徴をアピールする。Jミルクは、日本への玄関口となる各地の空港での「ウェルカムミルク」の無料配布を展開する。
新型コロナウイルスの収束で、乳製品の輸出が可能な香港や台湾、欧米などからの旅行客は増加傾向にあり、輸出への一層の追い風となるか期待がかかる。
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