[農家の特報班]ホタテパウダーの農薬除去効果「水道水と同じ」 千葉大名誉教授が検証
実験には、市販の慣行栽培のトマトを使った。市販の農作物で残留基準値を超える農薬が検出されることはほぼないため、購入後にトマトの表面に農薬を散布。実験のための処理で、国内で収穫後の農産物に農薬を使うことはない。
実験で使ったホタテパウダーの販売会社が除去できるとうたう、ネオニコチノイド系と有機リン系の農薬を含む6種類の有効成分を付着させた。
実験は、次の手順で行った。①規定の濃度に希釈した農薬を霧吹きで吹き付け、自然乾燥②所定の量のホタテパウダーを溶かした水や水道水に10分間漬けた後、水道水で2回すすぎ、自然乾燥③外部の分析機関にトマトを冷蔵便で送り、残留濃度を分析――。農薬散布後に何の処理もしなかったトマトも分析した。
この結果、無処理のトマトからは6成分全てを検出した。一方、ホタテパウダーや水道水で洗ったトマトからは、どちらも4成分を検出。クロチアニジンとチアメトキサムの2成分については、どちらも検出限界の0・01ppm以下だった。
本山氏によると、この2成分は水に溶けやすい。パウダーの有無にかかわらず「水に成分が溶け出した可能性が高い」とみる。他の4成分の検出濃度は、無処理のトマトも含めて大きな差がなく、「散布時に付着した量の振れの範囲内」と指摘。ホタテパウダーを溶かした水と水道水は「洗浄効果に有意な差がない」と結論付けた。
残留農薬の分析は、一般財団法人・三重県環境保全事業団に依頼し、120成分を対象に行った。意図的に残留させた6成分以外は検出されなかった。本山氏は「農薬を除去するために家庭で特別な処理をする必要はない」と話す。
本紙「農家の特報班」は7月、本山氏と実験した結果として、ホタテパウダーで農産物を洗った時に水が濁るのは「農薬が落ちて生じた反応とは考えにくい」と報じた。
「農家の特報班」(略称のうとく)に取材してほしいことを、LINEでお知らせください。友だち登録はこちらから。公式ツイッターも随時更新中です。