酪農廃業 韓国でも 飼料高、需要減追い打ち
酪農家戸数は新型コロナ禍からの回復に伴い一時増えたが、現在は減少が続く。韓国の酪農振興会の調べによると、2021年第3四半期には6133戸だったが、23年第2四半期には5766戸と6%減少した。
最大の要因が生産コスト上昇だ。韓国統計庁によると、原乳1リットルを生産するコスト(22年)は前年比13・7%増の958・71ウォン(1ウォン=0・11円)で、過去最高を更新した。6割を占める飼料コストが、異常気象やロシアによるウクライナ侵攻で17%増の570・34ウォンとなり、全体を押し上げた。
消費構造の変化も追い打ちをかける。飲用牛乳の消費量(22年)は31・9キロで、20年前と比べ約13%減。輸入主体のチーズなどが増える半面、国内産主力の牛乳を飲む機会が減っている。
韓国は、米国と欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を締結し、段階的に関税を削減。26年からは牛乳やチーズの関税を撤廃する。専門家は「輸入品の増加に伴い、韓国酪農家は一層の試練に直面するだろう」と指摘する。
韓国同様に飼料を海外に頼る日本でも、酪農家の廃業は深刻化している。農水省の畜産統計によると、今年2月1日現在の全国の酪農家の戸数は前年比5・3%(700戸)減の1万2600戸となった。