財務省の貿易統計によると、23年の納豆輸出金額は、過去最高だった前年を6%上回るペースで、18年同期比では95%増えた。健康ブームを受けて、海外の富裕層を中心に納豆の注目度が急上昇したことが要因。全国納豆協同組合連合会(納豆連)によると、インバウンド(訪日外国人)が帰国後も納豆を食べるケースが増えており、「伸びしろがある」という。
国・地域別に見ると、中華圏で伸び幅が大きい。中国が同375%増の3億8000万円、香港が192%増の1億7000万円、台湾が108%増の1億2000万円。納豆連は「中華圏で日本の食文化に対する関心が高く、富裕層を中心に消費が増えている」とみる。納豆人気はオーストラリアやタイなどにも波及している。
外国産大豆が使われることの多い納豆だが、アジアでは日本産大豆を使った納豆が人気を集めている。納豆メーカー各社は「中国や韓国から日本産大豆指定の注文が増えている」(兵庫県の業者)、「国産黒大豆を使った商品の問い合わせが多い」(茨城県の業者)と明かす。日本産の原料に健康イメージを持つ人が多いとみられる。
23年産の国産大豆の作付面積は前年比で2%増加した。国内市場で国産需要は底堅いものの、乱れていた物流が回復し、安価な輸入品が増量傾向との課題がある。国産大豆の需要拡大に向けて、海外での納豆人気を取り込めるかがポイントとなる。