[みどりの一歩]「ライスレジン」アイテム続々 国産未利用米で脱石油
同社は全国3カ所に製造工場を構え、JAや自治体と連携して7県の45ヘクタールで原料となる専用米を栽培。2025年までにライスレジン10万トンの生産を計画し、製造工場を8カ所、専用米の栽培面積を300ヘクタールに拡大する予定だ。
米を石油系プラスチックと混ぜ、ペレット状にする。米は最大70%配合でき、大幅に石油系プラスチックの含有量を下げられる利点がある。
商品のバリエーションはレジ袋や使い捨てスプーン、食器、おもちゃ、財布など幅広い。100社以上が採用する。
大手牛丼チェーンの吉野家は、持ち帰り用レジ袋をバイオマス(生物由来資源)率25%のライスレジンに切り替え、石油由来プラスチックの使用量を年間に約30トン削減した。
課題のコスト面も改善され、石油由来とほぼ同水準という。円安や石油相場などの影響で他のバイオマスプラスチックの値段が上昇する中、バイオマスレジンHDは「原料の米は100%国産なので、安定供給が可能」(経営企画室)とみる。
トウモロコシやサトウキビなど植物由来の原料を使ったバイオマスプラスチックは、世界的に注目を集めるものの大半が海外産。環境に優しいといった利点の他、米を活用したライスレジンは国産という点でも注目が集まる。
環境省の調べでは、18年度のバイオマスプラスチックの国内出荷量は約4万7000トン。政府は30年までにバイオマスプラスチックの200万トンの導入を掲げる。
価値見いだし普及へ
米卸大手で物流も手がけるヤマタネ(東京都江東区)は2023年12月、バイオマスレジンHDと業務提携を締結。国内初のライスレジン製パレットを千葉県印西市の精米センターに導入した。今後は米袋や容器への採用を検討し、取引先にも普及を図っていく。
ヤマタネは「『続く』を支える」を企業メッセージに掲げ、地域の水田維持に取り組んでいる。事業戦略部の芳賀俊親課長は「資源米に米の新たな価値を見いだし、産地で生産拡大を図り、耕作放棄地の解消につなげたい」と意気込む。(志水隆治)