とぐ必要なし。水の白濁は“でんぷん”
全国唯一の無洗米の認証機関、全国無洗米協会に聞くと「とがずに、そのまま炊いて問題ない」。白い濁りは米のでんぷんが水に溶けたものや、水を入れたときに出る細かな空気の泡によるもので、ぬかの残りではない。米の総合メーカー、東洋ライスは「精米技術は進歩している。むしろ無洗米をとぐと、炊いた時につやや舌触りが悪くなってしまう」(企画広報部)という。
精米技術の進歩は無洗米だけにとどまらない。取材を進めていくと、普通精米も「今は昔のように力を入れてとぐ必要はなくなっている」との答えに行き着いた。無洗米と普通の精米。両方とも、よりおいしく食べる方法があるという。
無洗米と普通精米は、炊き方やとぎ方のポイントを押さえることでよりおいしく、手軽に楽しむことできる。生活スタイルに合わせて選択したい。専門家や関係団体への取材を基にまとめた。
無洗米モード搭載の炊飯器も
無洗米は肌ぬかを除去している分、通常の精米より粒がやや小さく、計量カップに多く入る。そのため全国無洗米協会は、無洗米をおいしく炊くには「水量が肝心」と強調する。
炊飯器の目盛り通りだと水が足りず、ご飯が固くなる場合があるため、無洗米1合(142グラム)当たり水大さじ1杯を加えて炊く。炊飯器に「無洗米」の目盛りがある場合、水量をそれに合わせる。
最近の炊飯器は工程に吸水を含み、無洗米と水を入れればそのまま炊ける製品が多い。「無洗米モード」があれば、それを選ぶ。
炊飯器メーカーの象印マホービンによると、無洗米モードは通常より予熱を長くして、吸水を促す。通常の精米は、とぐ際に一定量を吸水するが、とがない無洗米は吸水していないためだ。無洗米はでんぷんが水に溶けやすく、焦げたり吹きこぼれたりしやすいため、加熱の仕方も変えているという。
昔より簡略化し粒同士を摩擦
普通精米のとぎ方について「昔のようにとがなくてもいい。とぎ過ぎると米が割れたり、炊いた時にべた付いたりしてしまう」。そう答えたのは「五ツ星お米マイスター」の資格を持つ、こだわり米穀店・スズノブ(東京都目黒区)の西島豊造社長。お薦めの米のとぎ方を教えてもらった。
「とぐほど表面が削れて味や食感が損なわれる。力を入れず優しく扱って」と西島さん。最初の工程は「適切な計量」。米の計量カップに、山盛りに米を入れた上で、カップの縁に沿って余分な米を箸などを使って擦り切る。
次は「すすぐ」。米は最初の水を吸い込みやすいので、1回目のすすぎは浄水器を通した水を使う。米よりも多く水を入れて数回軽くかき混ぜ、ぬかやごみを含む水を吸い込ませないよう、10秒を目安にすぐ水を捨てる。これをもう一度繰り返す。2回目以降は水道水でもよい。
「すすぐ」を終えたら、次は「とぐ」。ソフトボールを握るように全ての指を広げて、米をシャカシャカと20回程度かき回す。米粒同士の摩擦で表面をとぐイメージ。
「とぐ」が終わったらもう一度「すすぐ」。水を注いで数回かき混ぜ、水を捨てる。これをもう一度繰り返す。
最後に「水を入れて透明度を確認する」。米が見えにくいほど白濁していたら、「すすぐ」「とぐ」と同様の方法で10回ほどかき回し、2回すすぐ。水が薄く濁る程度になったら完了。
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