熱中症発生「住居」4割 搬送6割が65歳以上 総務省消防庁データから
同庁は2008年から、熱中症による全国の救急搬送状況を1カ月ごとにまとめ、公表している。これによると、08~24年の7月の搬送者数は平均2万2800人。毎年7月に搬送された平均42人が病院到着時点で死亡していた。
今年7月の搬送者は28日現在、過去2番目に多い3万7043人。最多は18年の5万4220人で、気象庁が現在の統計法で集計を始めた2010年以降昨年まで猛暑日地点数が3127カ所と最も多かった。
今年は猛暑日地点数が最多を更新したが、熱中症予防策が市民の間に広がり、発症者の増加を抑える結果につながったとみられる。ただ、猛暑日地点が増えると搬送者が増える傾向は変わっておらず、環境省は今年、熱中症警戒アラートの発出を大幅に増やして注意を呼びかけている。
「田畑など仕事場」は2%
熱中症の発生場所は、総務省消防庁が統計を取り始めた17年以降のデータを集計・分析したところ、最も多かったのが庭を含む「住居」の41%で、「道路」16%、駅など不特定多数が出入りする「公衆(屋外)」12%、「工場や道路工事現場などの仕事場」10%、飲食店など不特定多数が出入りする「公衆(屋内)」8%などと続いた。「田畑などの仕事場」は2%と最も少なかった。
65歳以上の搬送増 背景に1人世帯増か
搬送者の年代別では、65歳以上の割合が08~09年の40%前後が10~18年は40%台後半~50%で推移し、19年以降は53~59%と徐々に高まっている。
内閣府によると、65歳以上の1人暮らしの割合は1980年に男性4・3%、女性11・2%だったのが、40年後の20年には15%、22・1%と増加している。
症状が重くなるほど自分で対処したり周囲に助けを求めたりするのが困難になるため、高齢者の1人世帯の増加が関係している可能性もある。
(糸井里未)