生産コストの高騰は、いつまで続くのか見通しがつかない。辞めどきを考えていた生産者が、これを機に決断することが増えている。前年度までは国や都道府県による緊急対策が措置されていたが、今年はそれも一段落してしまった。今も各施策にそれなりの額は付いているが、基本的には手挙げ方式で経営ごとにもらえる金額がばらつき、補正予算での措置では来年も事業が続くか見通せない。酪農家が希望を持ち、安心して経営できると思える施策が必要だ。
飼養頭数に応じて支払うなど、政府が酪農家の所得を一律で支えることも必要。乳価を上げていくことも大事だが、製品も値上がりして消費が落ちる課題もある。法律に基づいた制度として所得支持を行うことが安心感につながり、少額からでもまずは始めることが大事だ。
飼料高騰下では、自給基盤を伴わない大規模化は逆に経営を脆弱(ぜいじゃく)にする。飼料基盤など地域の実情に応じた経営に見直すことが必要だ。家族経営とメガファームはどちらも重要で、地域を支える家族経営には支払いを加算するのも一つ。生乳生産を支えるメガファームには、金融面での支援などを続けていくべきだ。