今世紀末、トウモロコシ24%減収 穀物の温暖化影響早まる 国際チーム
8カ国の研究機関のチームが、2069~99年の世界の穀物の単位面積当たりの平均収量を予測した。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が8月に公表した気候変動予測と、8カ国の研究機関で開発した収量シミュレーションに基づき、従来の予測より信頼性が高いという。
予測によると、1983~2013年の平均収量と比べ、高温による生育障害などでトウモロコシは24%、大豆は2%減収する。14年の前回予測ではそれぞれ同1%増、15%増と見込んでおり、大幅に下方修正した。米は同2%増と見込むが、前回予測の同23%増から大きく落ち込んだ。
一方、小麦は前回予測の同9%増から同18%増に上方修正した。大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の増加による光合成促進と、主な栽培地が冷涼な高緯度地域のため、気温上昇でかえって生育しやすくなるとみる。
これらの影響が出る時期も、前回予測より大幅に早まると予測する。小麦で20年代、トウモロコシで30年代後半、米は90年代からとした。前回予測では、小麦は30年代前半、トウモロコシと米は90年代以降としていた。
国連の予測によると、2100年の世界人口は現在より4割増の109億人。トウモロコシは世界で最も栽培されている作物で、国立環境研究所は減収の影響は「世界的にかなり大きい」とみる。飼料不足による畜産経営圧迫の可能性も指摘。温暖化の緩和策や、適応技術の開発などを急ぐ必要性を指摘する。